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YOUたち、これ読んじゃいなよ。感想書いちゃえばいーじゃない。

砂の女

砂の女

著者 安部 公房

ジャンル

小説

砂丘へ昆虫採集に出かけた男が、砂穴の底に埋もれていく一軒家に閉じ込められる。考えつく限りの方法で脱出を試みる男。家を守るために、男を穴の中にひきとめておこうとする女。そして、穴の上から男の逃亡を妨害し、二人の生活を眺める部落の人々。ドキュメンタルな手法、サスペンスあふれる展開のなかに、人間存在の象徴的な姿を追求した書き下ろし長編。20数ヶ国語に翻訳された名作。

レビュー

「いつか読みたい本リスト」に入ってた一冊。
古本屋で100円で出会ったので、
安部公房の世界に踏み込んでみることにしました。

…のですが、結構序盤で後悔し始めました…。
かつて読んだ中で、最も怖い話(気持ち悪い寄り)ランキング1位は
ずっと「ドグラマグラ」だったのですが、その10倍「怖い」のです…。
なんか虫が体を這うような、ねっとりずっしりとした、ゾクっとする嫌な怖さです。

物語は昆虫採集に出かけただけの男が、
砂で埋もれて行く村の一つの家に、「砂の女」と閉じ込められるお話なのですが、
極端に非現実的な世界の話のはずなのに、
その描写があまりに緻密で正確になされているため、
だんだん現実にどこかに存在する場所のことが書かれているのではないかという気になってきます。

また文中に「………」というのが、何度も何度も、ほんとに何度も挟まれていて
その空白の持つ意味の底知れない暗さに、戦慄を覚えます。

例えば砂の女の台詞、
「ええ……こうしないと砂が入るんですよ、ご飯の中に……」(新潮文庫26ページ)
…ぎゃー!!すでに口の中は砂をがりっと噛んだような気持ち悪さでいっぱい…(泣

しかもこの村の砂は、塩分が高く、重く、露を吸うと糊みたいに固まって、ほっとくと腐るらしい。
…ぎゃー!!もう体にべとべとの砂がひっついて払っても払っても取れない感触がまとわりつきます…(号泣

リアリティー溢れる行間に、恐怖をリアルに体験できてしまう本なのです。
今思えば、読みながら変な汗もかいていたかもしれません。
しかもこの気持ち悪い怖さは、不思議なことに「怖すぎて」反対に途中でやめられないのです。
まさに砂地獄的…
長編といっても短い部類だと思いますが、3分の1を読んだだけで私の息も絶え絶えです。

そしてこの恐怖心をなにより仰ぐのは「砂の女」の存在。
女がいて、不幸のオーラを四方にばらまいているというより、
不幸のブラックホールがあって、その奈落の底に女が埋まってると言う方が似合う。

警戒の色でこわばった表情に張り付く臆病な作り笑いをし、
はっきりものを言わない受け身な沈黙を続ける。

登場人物が多くないので、なおさら彼女の圧倒的な存在感に
更に目を背けられなくなる私…

あぁ…
ここまで読んだだけでも気持ち悪いですよね、すいません…

しかし脅かすワケではありませんが、
ほんとに「怖い」のは実は「砂」でも「……」でも「女」でもないことに、
読み進めて行くうちに気がついてくるのです。

私もうっすら気がつきますが、初めは気にしないフリをしました。
だって信じたくないんだもん。
その「ほんとの怖さ」とは、もっとも人間的で、
誰もが心の中に持っているものだから。

ひとは誰もが理想と夢に胸を膨らませて、
自分の正義を振りかざして生きています。
でも、誰もが怠慢で強欲で自己中心的な業から抜け出す事はできないのです。

頭で考える常識と自分らしさは、
生き物としての本能に逆らえないのかもしれません。

あまり詳しくは書けませんが、
人間という生物の怖さと儚さにちょっとさみしくなり、
その描写の素晴らしさに、また違う意味で「ぞっ」とした一冊でした。

怖い怖いと書きましたが、
人間という生き物を再確認する為にも、
是非一度読んで頂きたい本です。
その表現のすごさに、なぜ映画にもなり、
こんなにも長い間沢山の人に愛される本なのかよくわかります。

ちなみに私の中の分類はスタンリーキューブリックの「シャイニング」的サイコホラーです…。

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