～10月 アラダスちゃん、森の中で新たな仲間と遭遇～
カメと別れて、アラダスちゃんは魚たちが遡上（そじょう）する川の上流に向けて歩き出します。
ところが、だんだんと日が暮れてきました。
上流は遥か向こうに見える山の中。
お腹も空いてきたので、
一旦工房に戻ることにしました。
「明日早く起きて、川の上流を目指そう！」
夕ご飯を食べながら、明日の準備を進めるアラダスちゃん。
秋は日が短いので、ランタン、テント、寝袋、キャンプ先で食べる食材も
用意しました。
「これでバッチリ！荷物が多いけれど、安心して魚たちが遡上する川の上流を目指せる」
ZZZ…。
カメとたくさん泳いだアラダスちゃんは、お腹が満たされ、
いつの間にか眠ってしまいました。
甘く漂う金木犀の香りで目が覚めたアラダスちゃん。
時計を見ると既にお昼を過ぎていました。
「寝坊した！早く川の上流を目指さないと、また日が暮れちゃう！！」
急いで荷物をまとめて工房を飛び出すアラダスちゃん。
大きなバッグを一つ忘れているのを気づかずに。。
川の上流を目指して歩き続けるアラダスちゃんは、
カメと別れた河口よりも川幅が狭くなっていることに気づきました。
遡上する魚たちには、滝や堰（せき）などたくさんの困難が待ち構えています。
それでも力強く乗り越えて行く魚たちを見て、アラダスちゃんは思うのです。
「自分も魚たちと同じようにがんばろう！」と。
太陽が西に傾く頃、山に囲まれた川の上流に着きました。
山の中は、木々が生い茂り、薄暗いです。
「お腹も空いてきたし、ここでキャンプとするか」
大きな荷物を広げ、テントを組み立て、ランタンを灯し、
火を起こします。
「よし！これでバッチリ、持ってきた食材を温めよう」と思いましたが、
アラダスちゃんは、あることにやっと気づきました。
「食材を入れたバッグがないっ！どうしよう。。おなかが空いた。。」
空腹で途方に暮れるアラダスちゃん。
周りの森は既に真っ暗です。
その暗闇からガサゴソと音を立てて
こちらに何かが近づいて来ます。
後ろを振り向くと大きな影が！
「うわぁ！」アラダスちゃんが驚くと、
大きな影も驚きます！
「うわぁ、驚かしてごめんなさいつ！」
影の正体は、この森に住んでいるクマでした。
木々が生い茂る薄暗い森を訪れる人はおらず、
久々のお客さんに、クマは嬉しくて思わず会いに来たそうです。
「よかったら、上流で釣れた魚をどうぞ」
空腹なアラダスちゃんは、クマと一緒に魚を焼いて美味しくいただききました。
クマによると、この山は誰も来ない分
森が綺麗な水を育み、遡上した魚たちが卵を産み、
海に向かって行くそうです。
またキノコや栗など山の幸が豊富に採れるそうです。
翌朝、川の上流で魚たちを見届け、山を降り工房へ戻ることにしました。
山でも新たな仲間ができたアラダスちゃん。
帰り際にクマが持たせてくれた、食べきれないほどの山の幸を携えて、
工房へ急ぎます。
「街に戻ったら、仲間やお客さんを海の幸・山の幸でもてなし、秋祭りを開こう！」
と心の中でつぶやくアラダスちゃんでした。
（11月のカレンダーブログもお楽しみに）
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