アラダス読書部
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YOUたち、これ読んじゃいなよ。感想書いちゃえばいーじゃない。
もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
レビュー
昨年話題になったらしい本(私は知らなかった...汗)を、借りる機会があったので読んでみました。
今更ですいません。
タイトル通り、主人公で高校野球部のマネージャーの川島みなみが、ドラッカーの『マネジメント』に出会い、
『マネジメント』に沿って、野球部を立て直して行くというもの。
「われわれの事業は何か、何であるべきか。」「顧客誰か。」に始まり、目的・目標の設置、
マーケティングとイノベーション、組織に所属する人々の属性や役割そして成長、
仕事の生産性等々、段階的に『マネジメント』を引用しつつ、
みなみが「高校野球部」を「組織」ととらえ、『マネジメント』の「企業経営」を当てはめ実践していく。
『マネジメント』を読んで真摯に考え、取り組む主人公のみなみちゃんには共感できるし、
文章も非常に分かりやすい本です。
ビジネス入門書としてして、社会人3年目以内の人や学生さんが読むにはいいのかなと思いました。
自己啓発本や経営書を読むきっかけになりえるような本だし、
上澄みをさらって、本家の『マネジメント』の紹介にも成功している本だと思います。
それと、、、これは小説ですが(私は小説呼んだのって学生ぶりでしたが)、
あまりにも話の展開が良すぎるあたりが、マンガのよう。
...と思って調べたらアニメ化されてるんですね・・・。
しかも映画にもなってる...!AKB48...さらに話題になるハズだ(笑)
見ての通り、表紙や挿絵は萌え系のイラストでなかなかインパクト大ですが、
これも綿密なマーケティングを元にこうなったんでしょう。
今まで取り込めなかった層へのアプローチもできたから、
ビジネス書としても小説としても少し中途半端だけど(失礼)、
ベストセラーになったのはダイヤモンド社の企画勝ちな気がします(笑)
これで、本家の『マネジメント』も売れた(私も買った..笑)のだから、
戦略としては大成功ですね。
あ。読書感想文になってない...?w
posted by荒川めぐみ
ずっと読んでみたかった本、私も借りまして読みました。
お、面白かった…。
しかも不覚にも泣いてしまった…。
一言で言えばドラッカーの「マネジメント」を生活で役立てる実用例を、
女子高生という社会にも出ていない子供の立場から紹介することで
更にインパクトを強めた、ドラッカー讃美書です。
(または、ドラッカーを読んでない読者層に「マネジメント」を売る為のCM本)
表紙を見て受ける違和感は、そのまま文章にも現れていて、
小説なのかビジネス書なのかハッキリしない、どういう心持ちで読めばいいのか、わかりにくい文章です。
国語力のある程度ある、素人が書いたのかな?とさえ思われそうですが、
じつはそこもこの本の面白いところで、
読み進めているうちに、この表現に乏しい教科書みたいな文章が、
まさに主人公の「みなみ」そのものを体現しているような感覚が湧いてきます。
みなみは、普通に勉強してきて、普通に楽しかったりつらかったりする思い出があり、
普通に大事な友達もいる、普通の女子高生。
みなみを含め、他の登場人物も、設定はハッキリしてますが個性はありません。
でも実際の世の中ってこんなもんなんじゃあないでしょうか。
小説に出てくるような、味や面白みにあふれた人になんてほとんど出会えません。
そんな「どこにでもいる」みなみが、
ドラッカーを読んで変わり、周囲を巻き込み、弱小高校を甲子園へ連れて行く…
つまり、誰でもドラッカーを読めば、ぱっとしない人生に、
なんかとてつもなく素晴らしい事が起こるのでは…
稚拙だと思われた文章が、いつの間にかそんなでっかい気持ちにさせてくれているではあ〜りませんか。
初めに受けた違和感は、小説だと思っていたから違和感があったのであって、
じつはものすごいリアリティーのある人生の指南書と捉えてみるというのはどうでしょう。
そういえば新約聖書も一つの人生指南書ですが、
どこにでもいる普通の人々が登場し、文章も上手ではありませんし、話は意味が分かりません。
しかし読む人はその中で自分に似た立場の人物や、似た気持ちを見つけ、
各々がイエス様の言葉から生きる事の大切さを学んでいるではありませんか!
聖書になぞらえるのはやりすぎですが、
そんなワケで私はこの本を小説でもビジネス書でもなく、
この中から、なにか役立つものを見つけて自分に役立てる為の、人生の指南書と決めつけてみました。
そしてそう考えると、ベタな展開にも素直に感動できて、楽しく読めたりします。
そして楽しく読めると、文中に何度も登場する「マネジメント」からの抜粋を真摯に読みとろうとすることが出来ます。
真摯に読み取る…ここが大切で、これこそがこの本の真髄なのです。
つまり今まで何度もドラッカーに挑戦したけど挫折した人(おそらく沢山いる)も、
みなみを通して、「簡単語」に訳されたドラッカーに出会えるのです。
「簡単語」に訳されたドラッカー。この本の一番重要なところ。
個人的な話ですが、私は昔長くやってた仕事で、販売員の教育もしなくてはいけませんでした。
まさにみなみが野球部員に対して行ったマネジメントと一緒です。
どうやったらお店のスタッフがやる気を出して気持ちよく仕事ができるようになるのか。
どうやったら店長達がお店の売上を伸ばせるように努力する事ができるのか。
沢山のマネジメント本やコーチング本を読みました。
もちろんドラッカーも読み、そして案の定挫折しました…。
あの時読めなかったドラッカーを、私はみなみになって始めて「読む」ことができたわけです。
しかもその内容は、自分がかつて色んな本を読んだり、経験したりして体得し、
信じていた考え方と全く同じだった事に、やっと気がつくことが出来ました。
この時ですよ、わたくし、電車の中にも関わらず号泣。
具体的には「強みを生かす」という部分。
人のマネジメントとは、人の強みを発揮させる事である。(中略)
組織の目的は、人の強みを生産に結びつけ、人の弱みを中和する事にある。(120ページ)
これだけ読むとなーんてことはないのですが、
みなみのおかげで私はやっとドラッカーに触れ、
自分の信念を再認識し、自らの人生に真摯に向き合いたいと感じたのです。
大袈裟ですね。
号泣も、言い過ぎです。せいぜい涙を我慢したら鼻水が止まらなくなった程度です。
でも、それくらいの感動はありました。
他にもこれからも役に立ちそうな言葉や、
習得したい姿勢など、覚えておきたい事がたくさん出てきました。
それらをなぞる為にもう一度読んでもいいくらいです。
ストーリーもベタで文章も三流で、
ビジネス書としてとてもじゃないけど役に立たなそうな内容ですが、
やはりドラッカーは偉大です。
きっと読む人に、自分と向き合える何かを見つけさせてくれる本だと、
私は思います。
posted by食いしん坊のあひるちゃん